Mixpak Interview Series: Bok Bok

2009.07.14 by Brendan

Bok Bok

Alex Sushon, AKA Bok Bokが最近アツい。ロンドンのイースト・ヴィレッジのエクセレントなNight SlugsのパーティーでDJをしたり、Lower End Spasmでブログを書いたり、Sub FMで番組を持ったり、2009年もっともホットな曲のいくつかをプロデュースしたり、Fact MagazineやL-Vis 1990の『United Groove EP』のデザインを手掛けたり、Dazed & ConfusedのNew Media Top 50で絶賛されたり、2009年は彼にとって、本当に素晴らしい一年だと、この段階から断言できる。また、私がこのインタビューのために彼をキャッチしたとき、彼が故郷であるウクライナのオデッサで休暇中だったというのも、頷けること。彼は、自分が手掛けたMixpak Recordsのリミックス(ここで買えます)のことについて、DJのあとのスナックについて、グライムのブームが過ぎ去ったことについて、「シンセ・エクスタシー」について、The-Dreamについて、そしてSimian Mobile Discoのビデオについて、色々と語ってくれました。

Mixpak Blogのためのエクスクルーシヴ・インタビュー、聞き手はBrendan Arnott(太字)。

また、LuckyMe!のためにやったBok Bokのフェイヴァリット・ミックスも、どうぞ。

Bok Bok – Manara’s Golden Fleece Mix for LuckyMe (tracklist here)

Brendan: Night Slugsのパーティーは順調に盛り上がってるみたいだけど、こういうイベントをオーガナイズするにあたって重要なのはどんなことなのでしょうか?

Bok Bok: 簡単に言うと、Night Slugsでは、アクセスしやすくて楽しいけど、音楽的な妥協のないパーティーをやりたかったんだ。UKならではのサウンドシステムの歴史を受け継いだ、きちんとしたダンス/クラブ・ミュージックのパーティーをね。だから、大切なのは、グッドなだけじゃなくてヘヴィーなベースがきちんと際立ったサウンドとか、カッティンエッジな音楽ポリシーとか、楽しみの中にもそういうものを維持しながら、クラブやサウンド、ダンスにフォーカスして、団結して、素晴らしい経験を共有する、ということだった。マイクを握るホストがちゃんといて、トラックをリワインドして、とかとか、みんなにちゃんと音楽を楽しんでもらえたら、っていう。

パーティーの根っこには色々なコラボレーションとか友人つながりみたいなものがあるようですが。そんな中から、本当にクリエイティヴな空気が生まれているような気がします。自分でDJするだけじゃなくて、サウス・イースト・ロンドンの仲間であるManaraと一緒にやったり、 L-Vis 1990Crazy Cousinzの「Bongo Jam」でコラボしたり。特にこのジョイントはメジャーのサポートも受け、ブログでもだいぶフックアップされてますよね。2009年これまで、あとこれからも含めて、ほかにどのようなコラボがあるのでしょうか?

どうだろうね。まず最初に言っておきたいのが、L-Vis 1990と僕は互いに、長い長い付き合いのコラボレーターなんだ。DJも、b2b(バック・トゥ・バック、すなわち2、3曲ごとに交互に曲をかけていくスタイル)でずっとやってきたし。これからもいくつかのトラックを、一緒に作る予定。Night SlugsでもスプリットのEPを出すんだ。8月に、DRESS 2 SWEATからリリースする。もちろん、他の人々とDJするのも好きだよ。楽しいし、一緒にやっているからこそのダイナミズムみたいなものも感じられるし。b2bは本当にクリエイティヴなやり方だと思う。自分のラジオ・ショウにゲストで出てもらうときは、いつもb2bをお願いしているんだ。お気に入りのパートナーは、OnemanBen UFOだね。似たテイストも持っていながら、独自のパーソナリティーもあるんだ。引き出しも多いから。あとは最近ちょうど、Kingdomとb2bをやった。素晴らしかったね。もうすぐオンエアになると思う。 ):

一時、ご自身のことを表現するのに「グライミー・ハウス」なんてコトバを使っていたと思いますが、現在のあなたのスタイルは様々なジャンルの集合体のようなものかと。どこかのジャンルに当てはめるのも、あるいは新しい名前を作るのも、どっちも意味のないことのように思いますが、新しいキャッチフレーズであなたの音楽をとらえようとする人々と、何か問題があったりしますか?

どうだろうねぇ

もちろん「パス」という答えもアリですよ…

いや、そういうことじゃないんだ。いい質問だよ。

ええっと、「グライミー・ハウス」っていうのはまぁ初期の呼び方だよね。自分の好きな音楽が2003年から2005年あたりまでのグライムだったから。あの当時のグライムって、4×4で打ってるんだけど、ハウスのストラクチャーが全然グライムにフィットしていなかったっていう。だから当初僕がやりたかったのは、4×4のビートとグライムっぽいサウンドをうまくなじませることだった。まぁ、今でも同じようなことをやっていると思うけどね。でもあのころと違う面もたくさん出てきている。いずれにしても、ネーミングには慎重になってしまうよね。自分がやってるサウンドは、どの道ハイブリッドなものだし。それぞれのジャンルが、それぞれの枠組みの中で進化していけばいいんじゃないかな。

ジャンルはハウス/ベース/ポスト・グライム・ダブステップ、なんでもいいけど。だからフライヤーにはガター・ハウスとかヘヴィー・ベースとかって入れてるんだ。いわばフェイクのジャンルだよね。かかっている音楽を正確に言うっていうよりは、何となくぼんやりとした雰囲気みたいなものを伝えたい、というところ。こんなに短時間で色々な物事がウイルスのように伝わっていくような今の時代に、ジャンルの持つ意味というのも、だいぶ限定的になってきているんじゃないかな。

僕とL-Visがやっている音楽に誰かいい名前をつけられるかどうか、見てみようか…

じゃぁいいネーミングができた人にはMixpakのEPを無料進呈します!(冗談ですが)

ハハハ、いいねぇ!!!

ジャンルといえば、ずいぶん昔、あなたは主にグライムのDJだったと聞いたことがありますが、実際のところはどうなのでしょうか。ともあれ、Skepta and Tinchy Stryderによる「Ed Hardy Party」を聞いたときは、思わず涙が出てしまいました。グライムもずいぶんと薄くなったものだと。この音楽の現状を、どう思いますか?

そうそう、最初はグライムをかけてたね。ほとんどインストで、ホワイトばかりだった。確かにグライムは、自分の興味ない方向に行ってしまったよ。理由は色々とあると思うんだけど、ひとつには、クラブ・ミュージックの中でも、グライムはインフラ的な部分を担うような基幹の音楽ではなかった、というのがあるんじゃないかな。アメリカのラップと同じようにね。この音楽に興味があったのは、ホワイトで、ほとんどリディムみたいな扱いのころ。それからだんだん別のほうに行ってしまって、ダブステップも同じように、別のほうに行ってしまった。だからハウスっぽいのとかB-MOREとか、そういうのをかけるようになっていったんだ。

さっき音楽がウイルスのように伝わっていくって話をしてましたけど、あなたの登場は、ちょうど音楽のプロモーションや流通の方法が変わっていくのと同期しているような気がします。音楽業界がアルバムやヴァイナル主体からデジタルやインターネットを中心としたメディアに変わっていくのを、どう思いますか?

それにはふたつの思いがある。まず、ヴァイナルにはとっても興味がある。ヴァイナルのかわりに、セラートでダブプレートをたくさんスピンしているけど、本物のヴァイナルも、なるべくたくさん、かけるようにしているんだ。クラブ側が機材をちゃんとメンテできなくて、デジタルに比べてとんでもない出音になってしまうようなことも増えてきてはいるけどね。

他方で、音楽にとてもアクセスしやすくなっているというのは、とてもいいことだと思う。ロットや在庫の縛りとかもないから、手に入れようと思えば、いつだって入手できる。昔はそうじゃなかったよね。

たとえば、Night Slugsはレーベルとしての活動を始めようとしている。いいリリースがたくさん予定されている。でもこれはデジタルじゃなかったら、できなかったことだと思うんだ。また、たくさんのブログ(DiscobelleとかBap Bapとか)が、僕たちのことをプッシュしてくれるよね。これは僕らにとって、本当に大きなことなんだ。彼らは、僕らみたいな世界の一地方の音楽を、そこらじゅうに広めてくれている。

まったく。あなたのミックステープもデジタル・メディアのおかげでどれだけ多くの注目を集めているか、いい例ですよね。たくさんの、変化に富んだミックスをやって、世界中のブログや雑誌に取り上げられていますが、お気に入りは、どれでしょう?

自分のフェイヴァリットというと、最近友人のLuckyMeのためにやったヤツかな、グラスゴーの。彼らの全部が好き。シャープだよね。彼らは本当にストロングなチーム。このミックスでやろうとしたのは、様々な種類の音楽を、音それ自体と感情でリンクさせて、非線形性を持ったミックスを作り上げていくことだった。どうだろうね。ジャンルとかあんまり好きじゃないからわからないけど、どれも素晴らしいアップリフティングなシンセがあって、一体感があって、いいんじゃないかな。実はいま、ある特定のサウンドを追いかけているんだ。何て表現したらいいのかわからないけど、とりあえず「celestial」(何とも言えないほど美しい)というコトバが浮かんでいる。何故かは、わからないけどね。ある種の「シンセ・エクスタシー」とでもいうのかな。

あなたのブログ「Lower End Spasm」で、ロンドンのクラブにはびこる「純粋主義、皮肉、混乱、うぬぼれ、ココロの狭さ」などについて触れていますが、最近のシーンには誠実さが欠けていると思いますか?

そうだね、それと、真正性とでもいうのかな、そのふたつが、足りないと思う。これは大切なことだよ。クリーシェっぽいけどね。ある人類学者が言っていたんだけど、真正性の追求というのは、ミドルクラスの行いなんだそうだ。その割にはローカライズドされた音楽をハイジャックして、オリジネイターから注意をそらすためだけに「再解釈」する人がどれだけ多いことか。

自分の考えでは、正しい表現とは:
a) 本当に思っていることをやって
b) オリジネイターも巻き込むこと

このことは、自分のかける音楽をカテゴライズしないというあなたの姿勢ともかかわってくるかもしれませんね。これはどういうことで、どうして重要なんでしょう?

これについてみんなを悩ませるようなことはしたくないんだけどね。アーバン・ミュージックのダメなところについて話しはじめたときよりも、状況はだいぶよくなってきているし。みんなオープンマインドになってきていると思うし、音楽それ自体もオープンなものになってきていると思う。「こういう音だからOK」とか、「このシーンのものだからスルー」とか、どうでもいいルールに縛られず、オープンにやっていければ、と。

まぁ、少しずつよくなってきていると思うよ。そういう意味では、ハッピーだよ。

確かに。ジャンルの壁を打ち砕くということでいうと、MixpakのSizzlaとのコラボも、いい方向に向いてたと思います。

ほんとだよ。Mixpakはすごいことやってると思うよ。いい人も集まりつつあるし。Dre [Skull] がやってることは好きだよ。

Mixpakからリリースしてほしい人とかいますか?

誰だろうね…ちょっと考えさせて。変なリミックスとかいいかもしれないね。たとえばThe Dreamとか(もしDreがそれだけのお金をかけられて、彼を説得できれば、だけど!)。あとはグライムかファンキーか。いずれにしても、このレーベルにしかない、っていうのは、いいよね。だから、Sissy NobbyとかSizzlaは、いいと思うよ、ホント。そういうコラボを、これからも見てみたいと思うし、きっとできるはず。

ワオ、いつかDreamだDre Skullをリミックスしたら、僕のアタマすっ飛ぶかも。

本当?

リミックスといえば、あなたのDre Skullのリミックス(今月Grindin’でチャートインして、メッセージボードも称賛の嵐、Fake Bloodも絶賛している)がネット上でバズを巻き起こしていますが。どんな気分ですか?

いいレスポンスがたくさんあって、嬉しいよ!グレートなことだよね。いま世に出ているものと、少し違っていたのがよかったんじゃないかと思ってる。それでいてNight Slugsっぽいし。こういう音にみんな飢えてるんじゃないかな。そうであってほしいね!

DJや音楽を制作することに加えて、グラフィック・デザインも色々とやってますよね。さらに最近は、ビデオ制作も始めたとか。ひょっとしたらまだ知らない人も多いんじゃないかと思いますが、Simian Mobile Discoの「Synthesise」と「10,000 Horses Can’t Be Wrong」のビデオを、Kate Morossと一緒に作ってますよね。どちらもステキでした。どんな風に作ったのでしょうか。プロセスを少しだけ説明してもらえませんか?

ビデオはまだカジりはじめた程度だけどね。でも確かにやってる!ふたつとも楽しかったよ。どんな感じだったかというと、トラックをリミックスするのにも似ていたね。トラックをもらって、全体の構造をざっと見たあと、小さなループにカットしていくんだ。

それからひとつひとつの小さなセグメントやループを、Ableton liveに入れて、シンプルな2Dの白黒画像を使ってアニメーションをバックに付けた。で、Abletonでそのアニメをカットアップして音楽と同期させた。当時サウス・イースト・ロンドンのペッカムでArea10っていう素晴らしいウエアハウスを借りていてね。そのアニメを空間に映し出して、いろんな照明機器を使ってその映像を装飾するんだ。で、それを全部撮影して、またスタジオに戻ってトラックにはめ込んでいった。意外と手が込んでるでしょ?

クレイジーですね。どうりでカッコいいわけだ。ところでKate Morossはなぜサークルにご執心だったのでしょう?

彼女自体はもっとトライアングルなカンジだよね。でもあのときのSMDのテーマが、そうだったんだよ。なんでかわからないけど!

最後の質問です。DJはとってもハードワークです。腹を空かせながらやってるとします。あとに食べたいものは何?

キラーな質問だね。ツボをつかれた感じ。Night Slugsの前によく食べてるのはベトナムの豚肉米麺なんだけどね。終わったあとに、っていうと… 僕らが一緒にいて、それがロンドンだったら、たぶんミルクシェークかな。小さな食堂でね。チョコレートのバーを砕いて、僕がシェークに入れてあげるよ。うん、それだ。

ワオ、変なの。カナダにはそういうのないですね…

ハハハ、そうなんだ?じゃあレアな体験ができるね。

Bok Bok、長いインタビューに付き合ってくれてありがとう。

彼のマイスペース、それからNight Slugsのマイスペースもチェックしてみて。Mixpak Recordsからの彼のDre Skullの「I Want You」のリミックスもお忘れなく。

翻訳:KNAK28.

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