Mixpakインタビューシリーズ: Bonjay

2010.08.30 by Brendan

Bonjayは本当に才能あるアーティスト。

とてつもなくクリエイティヴで、それでいて謙虚で、ホンモノで、空恐ろしいタレントを持った、現在進行形ダンスホール・レゲエ再編の命運を握るアーティストのひとり。さらに、間もなくリリースとなるこの秋のEP『Broughtupsy』で、大きな注目を浴びることになるだろう。多くの才能ある新人たちと同様に、である(ジャマイカだけじゃない、アメリカだけじゃない、ダンスホールの「グローバル・テイクオーバー」という状況を考えてみてほしい)。BonjayのAlannaとのふたりに、ダンスホールの万能性について、フェイク・パトワについて、「エクソシスト風」後の新曲について、アーサー・ラッセルとの死後の世界を通じてのコラボの夢について、聞いてみた。もしまだホラーな「Stumble」を聴いていないならば、こちらで是非ダウンロードしてチェックしてみてほしい

聞き手: Brendan Arnott (質問が太字)

どうしてBonjayをはじめることになったの?ルーツを教えて。

Pho: もともとヒップホップを聴いて育ってきたので、自然とサンプルの元ネタになってるオブスキュアなソウルやファンクにたどり着いて、ダンスホールやUKのベース・ミュージックにも興味が広がって、ってパターンさ。 地元のテレビのショウで『Xtendamix』って番組があったんだけど、そこでヒップホップやR&B、ダンスホールのビデオがよくかかってた。ホストはMaster Tっていうヤツで、超オモシロイ人物だった。いつもフレンドリーで、シンセサイザーも使ったりして、たまに「従兄弟のスコットランド人のMcT」(彼自身は黒人)とかいって別人に扮して出演したりとか、茶目っ気タップリな感じでさ。レイドバックしてるけど知的で、ヒップホップやR&B、ダンスホールの大物たちに囲まれていてもいつもと同じようにジョークをかますんだ。彼を見てDJをやってみよう、って思ったんだよ。彼みたいなかたちでも音楽に深く関わることができるんだなって思って、じゃぁ僕も、ってね。

Alanna: 私も同じね。『Xtendamix』の影響は大きかった。カナダでは私たちの世代みんな、そうだったんじゃないかしら。私たちが小さかったころはまだこんなにインターネットが普及してなかったから、キッズたちにクールな新しい音楽を知らせる役目を果たしていたのはMuchmusicみたいなテレビ局だった。毎週土曜はみんなMaster Tを観ていたわ。KardinalやMonicaと並んで、彼がかける低予算のダンスホールのビデオに釘付けだった。

でも歌うことのルーツは元々は教会よ。8歳のときにゴスペルを歌いはじめたの。いま思えばラッキーだったわね。私が通っていた教会はミュージシャン養成所みたいなものだったから。発表会の時期ともなれば週に30時間はリハーサルしていたわ。設備は決してじゅうぶんではなかったけど、先生たちはいつも色々と考えて新しいことを試していたし、私たちも新しいハーモニーやアレンジを考えていた。ある大きなアンサンブルで歌ったときのことを今でも覚えているの。私たちのグループはアングロ系とウェスト・インディアンの混成グループだったんだけど、フランス語でも歌ったの。ある曲の最後で、Fugeesバージョンの「Killing Me Softly」のリフを加えたことがあったわね。

幼少期のある時期は、オタワで暮らしていたの。そこではフランス語と英語がミックスしていたわ。あと母親がホームステイの里親もやっていて、ポルトガルとかアフリカとかイヌイットとか、色々な子供たちがやって来た。そのことが必ずしも音楽に直結してはいないけど、新しいことにトライしよう、っていう積極性のタネを植えてくれたのは、間違いないわ。

私の理解が正しければ、BonjayはJokers of the Sceneがキュレートするオタワの<Disorganised>というパーティーで結成されたと思うんだけど、トロントに行ったことは、あなたがたの音楽に影響を与えたり、何らかの変化をもたらしたりしましたか?もしそうだとすれば、具体的にはどのように?

Pho: 僕は<Disorganised>をChrisとLinusと一緒に、チャイナタウンのイタリアン・レストランではじめたんだ。彼らはその後Jokers of the Sceneとなって、みんなでトロントの学校に行くようになった。こっちに来てからは、あまり読むものから影響を受けなくなった気がするよ。実際に耳にしたり、出会った人々からの影響のほうが大きいね。トロントでもウェスト・エンドで暮らしていなかったら、こういうダンスホール・ミーツ・レフトフィールド・インディー・ソウルみたいなスタイルで、インディー系からブランプトンのソカのパーティーまで、色んなところに呼ばれてプレイするようにはなっていなかったんじゃないかな。

Alanna: そう、DisoでPhoと出会ったの。パーティーに行ったのは本当に偶然。むしろ行きたくなかった。というのも、当時のオタワのパーティーって、ほとんどがホッケーとかNickelbackファンのためのものだったから。でもオタワ大学のホッケー・チームの試合で国歌を歌ったりしていた関係でみんなと一緒にそういうクラブに行かなきゃいけないハメになったの。私自身は、もっと新しいこと、もっといいことがしたかった。

同じころオタワ大学キャンパスのコミュニティ・ステーションのCHUOで働きはじめたの。それで、新しい曲、革新的な曲を全部ラジオでチェックできるようになった。でもよく行くパーティーでは、そういうシーンとリンクできなかったわね。出会っていたらいまごろは、パブで歌って、深夜に帰宅とか、そういう生活だったかしら。

だから初めてDisorganisedに行ったときは衝撃だった!彼らがかけている曲、ほとんどが知らないものばかりだったもの。ハードコアなインディー・ボーイズたちはNWAでモッシュするのよ。「Stumble」はそういうことを歌った曲。2000年代半ばのDisorganisedやその他の面白いパーティー・シーンの賛歌よ。私がシーンに足を踏み入れた瞬間ね。

20になるまではダンスホールで踊るだけだった。たくさん遊んだんじゃないかって?問題ないわ。だって4歳とか5歳のころからCaribanaで踊ってたんだから。でも他の音楽で踊るなんてことはなかったわね。Disorganisedに行くまでは。あそこでは、やりたいことは何でもできるのよ。ライヴをやって好きなことに挑戦するためのパーフェクトなプラットフォームだったわね。

最初にChrisかLinusに自己紹介していたらどうなってたでしょうね。神様に感謝しないと。Linusが午前3時に上半身ハダカになってるのを、もう何回見たかしら!

Alanna がダンスホールの万能性について話すのを聞いたことがあります。何がダンスホールを万能にしているのでしょう?

Alanna:そうねぇ、ジャマイカのモットーで「多くの民族から一つの国民に」というのがあって、これはジャマイカの多民族性のことに言及したものなんだけど、これがダンスホールの基盤になってると思うのね。英国は奉公人としてアイリッシュを連れてきた。中国人鉱夫たちはカリフォルニアに渡る途中でジャマイカに釘付けになってしまった。インド人やドイツ人もやって来た。様々な人々が、好むと好まざるとに関わらず、一緒になって、ひとつの国を作り上げたの。そんな場所で偶然できた音楽を考えてみて。加えて、ジャマイカ固有の自信みたいなのもあるでしょ。何だかよくわからないけど。私はまだ自信なさげなジャマイカ人って、出会ったことないわ(笑)!

過去のインタビューを読むと、みなBonjayの音楽のカテゴライズに苦労してるみたいですね。R&Bやダンスホール、ネオソウルと比べてみたり、あとおかしかったのが、何を間違ったかMTVのジャーナルリストが何度もバイレファンキ、バイレファンキって言っていたりとか。自分たちの音楽をどう分類する?

Pho:わからないな。誰か見識あるジャーナリストの方にそれをお願いしたいね。ラフを作る段階では、大体ダンスホールがインスピレーションにはある。でもAlannaと作業しはじめるようになると、ダンスホールへのフォーカスが弱くなっていくんだ。最近作ってる曲なんかは、もしESGやShuggie Otisが80年代のダンスホールや90年代のUKのベース・ミュージック、或いは2010年のトロントの音楽をやったら、っていうカンジのもあるんだよ。

一時テレビや映画からフェイクのパトワのアクセントを収集していたことがありますよね。このプロジェクトの真意は?

Alanna:その曲はアルバムの一曲で「Frawdulent」っていうの。そのまんまよ。アメリカの映画やテレビ・ドラマに出てくるジャマイカ人役の俳優たちの発音って最悪よね。そばにいるウェスト・インディーズの人たちに聞いてみて。みんな最悪っていうから!ジャマイカ人役の人たちがみんな揃いも揃ってギャングかミュージシャンってのは言うに及ばず、ね。いわゆる「エスニック系」の人々がみんな言ってること。「あなたが歌っていることがよくわかる、自分もそういう目にあってきたから」っていつも言われるわ。

いつだったかゲルフのパーティーに来てくれて、最後の曲でAce of Baseをかけたことがありました。ずっと恥ずかしかったけど、あなたがたが「これはマイ・ジャムだ」って言ってくれたことがありました。ホンモノとそうじゃないモノの区別って、どこにあるんでしょう?

Pho: Lan、これはあなたね。私はAce of Baseに関してはノーコメント。

Alanna:僕はAce of Baseが大好きなんだ。まだ当時娼婦のことを歌うのはリスキーだったと思うんだけど、それを歌って、しかもポップ・ソングを書くんだから。あと、彼らの曲が、僕が好きなその他の曲から、そうかけ離れているとは思えないんだよ。「All That She Wants」なんてもしNadine Sutherlandが歌ってたら90年代ダンスホールのアンセムになっていたかもしれない。或いは、Carly Simonの「Why」のB面とかね。

またいつだったか、私が着ていたVybz KartelのTシャツをみつけて、ダンスホールのことでディスカッションしたことがありました。私の希望は、ダンスホールの歌詞のトピックが、ホモ・バッシング以外のものになってくれれば、ということですが、あなたがたにとってのこの音楽の希望とは、何でしょうか?

Pho:ミュージシャンはもっと頻繁にプロデューサーのもとを訪れるようになったらいいのに、って思う。お気に入りの曲の多くがそういう時代に作られたものなんだよね。みんな気軽にコラボして、レコーディングしてた。例えばTalking Heads、彼らはバハマのコンパス・ポイント・スタジオで録音したよね。あとIan DuryとかSerge Gainsbougとかは、Sly & Robbieと一緒にやったりとか。今は、みんなジャマイカに行くんだけど、ボーカルだけ欲しいのかなぁって思うことも少なくない。歌詞も昔と一緒で、何か新鮮な新しいことをやろう、っていうのがないよね。僕もいつか、ミュージシャンをトロントに呼んでこの地のフレイバーを彼らの音に注入してフュージョンさせるみたいなことをやってみたいな。

将来の不安とかある?

Alanna:ツアーのときサービス・エリアのトイレを使わなくちゃいけないようになったら、イヤかも。

Drakeにとって、成功とは「金、車、服」だとか。さてBonjayにとっての成功とは?

Pho:人々に何かを感じてもらえるような音楽を作ること。

Alanna: リスクを冒してでも興味あることをやること。

新しい曲が出来たそうですね。どんなカンジか、説明してもらえますか?もし前のシングル「Gimmee Gimmee」が「エクソシスト風」だったとしたら、新しいのはどういうサウンド?

Alanna:ポスト「エクソシスト風」かしら。もっと歌っているし、ニュアンスもあるものになったわ。トラックというよりは、完全に歌ね。今後もジャンルを横断した曲作りを続けていくけど、この曲に関しては、クラブ系じゃなくてインディーの人たちに聞いてもらえるようなものになっていると思う。私たち自身のサウンドに向けての更なる一歩、ということになるかしら。とても誇らしく思っているわ。

マスターを聞きながらふと気づいたの。Broughtupsyには色々なボーカル・スタイルとヴァイブスが刻み込まれているなって。でもとってもいいフロウだわ。色々な要素があって、でもきちんとそれらが共有できて、これはきっとダンスホールの影響ね。ディープになっても、ちゃんとそれがあるの。

Bonjayに超能力があって、誰かひとり、そして一晩だけ、死後の世界から呼び戻せるとします。誰を選び、何をしますか?

Pho:ハングアウトしたい仲間はまだみんな生きてるしなぁ。ふたり選べるとしたらJames BrownとCurtis Mayfieldかな。どちらも目を見張るような才能があって、音楽に革新をもたらし、なおかつビジネスの手綱を上手に引いてキャリアをコントロールした。ちょっと普通じゃ考えられないような仕事上の規範も、持っていたと思うし。彼らと一緒に曲を書いてみたいな。

Alanna:Arthur Russellとレコーディングしてみたいわ。彼は何でも自分の満足いくようにやったの。彼の音楽は必ずしも意味をなすようなものではなかったし、理解されなかったけど、思わず感じてしまう何かがある。

もうひとりできたらAaliyahね。彼女とMissy、そしてTimbalandと一緒に1997年に戻ってセッションしたい。ステキなことになると思うわ。

Bill MurrayとSXSWでボードゲームのRiskをやったなんてウワサもツイッター上で流れてるみたいですが、真相は?

Pho:戦略ゲーム関連の噂話についてのコメントはしないよ。先週Holy Fuckと一緒にプレイしたショウでAziz Ansariがひょっこり現れたんだけど、ちょっと間の悪い思いをしたよ。Kevin DurantがYに現れる、みたいな。ふと通りを歩いてても目を引かないかもしれないけど、2010年のいま、パークデイルのバーでは考えられる限り最大のセレブだよね。

Alanna:バツが悪かったわね。

そんな中ふたりは我々の注意を引きました。他にいうべきことがあれば、どうぞ。

Alanna:いままさにスタート、ってカンジね。注目して欲しいわ。

翻訳:KNAK28.

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